ノームの森~The Forest of Gnome~

(作)梶木かじき遊仁ゆうじ

「カエルの学校」に通う池一番の大所帯。 ユグドラオオガエル

蛙ヶ池だけに生息する大型のカエル「ユグドラオオガエル」の紹介

基本情報

名前
ユグドラオオガエル
ユグドラオオガエル科
大きさ
成体/40cm~50cm・幼体/5mm~
生息地
蛙ヶ池

ユグドラオオガエル

ユグドラオオガエルは、蛙ヶ池(かえるがいけ)にのみ生息する大型のカエルです。

もうすぐ春になる、そんな時期になると蛙ヶ池の周りの森に身を隠していた成体たちが、池にやってきて産卵を行います。 蛙ヶ池の東側、池のやや浅くなった場所が産卵場所とおおよそ決まっています。

ユグドラオオガエルの面白いところは、成体に比べ、卵と孵化直後の幼体の大きさが、とてもとても小さなところにあります。 それ故、産卵数も通常のカエルに比べてかなり多く、「産卵のための体力が必要なために成体は大きくなっていった」とも言われるほどです。

孵化がはじまると、東側の岸が真っ赤になるほど、おたまじゃくしが密集します。 鳥や肉食の動物や水棲生物など様々な天敵もやってきますので、無事に成体になるのは、残念ながら、1~2%程度だと言われています。

『カエルの学校』

おたまじゃくしも、ある程度大きくなると体のサイズもそれなりになりますので、天敵には狙われなくなり、ゆったりと過ごせる様になります。この頃になると、オオハスの葉も茂りだし、オオハスを舞台にカエルミュージシャンによる『カエルの学校』が開かれる様になります。 学校と言っても、もっぱらカエルミュージシャンが歌を聞かせるだけのものですが。

そんな『カエルの学校』が開けれている短い期間に、おたまじゃくしたちは、足が生え、腕が生え、しっぽが無くなり…、と体が変化していきます。一変化毎に、おたまじゃくしの生活が、徐々に徐々に陸上に移っていくのです。 1匹、また1匹と卒業していきます。最後の1匹までカエルミュージシャンはしっかりと見送ります。

陸上に上がった成体は、その大きさと隠れて暮らす性質故に、ほぼ天敵による害がない状態で気ままに過ごします。 そして、次の年の春間近のある日に、産卵の為に森から池に帰ってくるのです。

ユグドラオオガエルの危機

そんなユグドラオオガエルですが、遠い昔、一度だけ絶滅に瀕したことがありました。 卵もおたまじゃくしも成体も、突然現れた“ある生きもの”に食べられ、ほとんど残っていない状態になったのです。 この時、池の生態系は壊滅的な打撃を受けました。 ユグドラオオガエルは、幼体期の数の多さから、池の食物連鎖において重要な役割を担っていたのです。

“ある生きもの”がいなくなって後、池の畔に住んでいた人間が、観賞用に飼っていたユグドラオオガエルの卵と成体を放流したと言い伝えられています。 そして、長い年月をかけ、ユグドラオオガエルの生息数を元の状態にまで回復させることに成功したのです。 池の生態系も回復し、今日の蛙ヶ池があるわけですが、それはまた別のお話。 またの機会にお話ししましょう。